走馬燈的な

 別になんてこと無い話で、ここまでたった十数文字なのに話を落とせるのかなという不安を抱きつつ酔ってるから書いちゃうけど、さっき包丁で指を切りました。スッて。持ち前の反射神経でそこまで大事にはなってないっつかカスリ傷のレベルですが、何度経験してもイヤなんだよこの感じ。

 下の日記で書いたように親が動けない状態なので、あらゆるリクエストを聞くがままな状態でして。そんな母様が、ねえ、グラタン食べたくない?と仰る。午前10時に。まぁ作る側としてはメニューを決めてくれることほど楽なことはないので、日中は町中をふらついて、日が暮れた頃に買い物をして、家に帰ってきてさぁ準備でもするかなと思った途端に異様な眠気がハグしてきやがったのです。ドサッて。18時くらいに。超眠い何だよコレ。そんな状態だったので「母、お腹空いてる?」「いや別に」「ちょいと寝てもいいかね」「いいよ」でそのままストンと眠りに落ちて、40分後になんだかフワーっと目が覚めた。で、7割方夢見心地の状態で、晩飯作らなきゃ…とふらふらしながら台所に向かったのです。

 ホワイトソースは昼間に出かける前に、持ち前の笑顔と一歩踏み出す勇気とバターと小麦粉と塩とコショウと牛乳と電子レンジで作り終えていたので、寝起きのオレがこれからやるべきことは、タマネギと鶏肉とキノコを塩コショウ白ワインで炒めて、そこにちょっと硬めに茹でたマカロニを投入してホワイトソースとあえて、そいつをグラタン皿に移してパン粉と粉チーズととろける感じのチーズを上から振りかけて、オーブンがないからトースターですてきな焦げ色をつければ完成なので、それをやらなきゃ。もうちょっと丁寧に説明したら、クックパッドデビューできそうだね。

 そんなロードマップを40分睡眠後という目が1/3のくらいしか開かない状態でふらーっと描きつつ、まずはタマネギのみじん切りだなぁと包丁とまな板を取り出し、タマネギの頭とおしりをストンと落として外側の皮をむきました。で、縦半分に二分割して、芯を落として繊維の方向に沿ってタスタスと切り目を入れていきます。そしたら今度はその切り目と直角に包丁をスイッと入れていくのですが、この時。この時に、タマネギに添えている左手の親指をやってしまいました。http://www.tepore.com/cooking/waza/014/index.htm←コレの4のときね。こうやって持てば良かったんだ。でもオレはそうせずに、左手の親指を思いっきり包丁の進行方向に添えていたのです。

 半分寝ている状態でしたけど、それでも気がついたんですよオレは。左手の親指に包丁が辿り着く直前に、これは不味いぞって。すごい一瞬の攻防なんですけど、それに気づいたのでヤバイ止まれ右手の包丁!って脳から右手に命令を出したんです。でも時すでに遅しで、その命令を出したときには包丁がタマネギを超えて親指に接していたんですね。もうタマネギのみじん切りを作る動きは体に染みついてしまっているので、一瞬思考が遅れたらもうアウトなんですよ。だから全てを理解しながら、ていうか理解してしまったので何だかその一瞬がとてもゆっくりに感じていて、でも体の動きを止めることはできずに、さらに思考の方が体の動きより一瞬速いので「あ、今からオレ包丁で指を切るぞ」と思いつつスッと切ってしまったワケです。右手止まれ止まんねえうわースッ…いっっ…痛い…、血、血!

 でも気づけたので、そんなに深い傷にはならなかったのですが。間接圧迫止血法と直接圧迫止血法を併用しながらも、5分くらい血がぬるっとにじんでくる程度。ちょうど気持ち悪い痛さでした。それでもやっぱり包丁が指にスイッと入ってくる感覚は何度経験しても「あぁあ」ってなるよね、というお話。ちなみに、出来上がったグラタンは超うまかったです。さすがオレ。あと、単なる指を切ったよ話がここまで長くなるとは思わなかった。