みんな、オレに仕事ってなんなのかを教えてくれ。

 つまりいま、憂鬱モードに入っているのでぐだぐだ書きます。笑いゼロだからな。何回も言ったり書いたりしてる気がするけど、仕事をする理由って、もちろんお金のこともあるけれど、本質はこの仕事をすることによって誰かの幸せに繋がっているかどうかだと思うのです。

 僕らはいま、クルマのブレーキの開発をしています。ところが、引かれている日程がそれはもうアートな領域に入るくらいステキなことになっているので、作っている人間は、みんなうわーってなっています。「将来、あなたがいま作っている製品が搭載されているクルマを、あなたは買いたいと思いますか?」と問われたら、全員が「ありえない」と答えます。なぜなら、100%壊れないとは言い切れないから。なんで言い切れないか?作っているモノが、一発でパーフェクトになるなんて余程のことがない限りありえないのです。じゃあどうするかと言うと、何回か試作をして、検討した上で次の試作品にフィードバックをかけて、最終的にコレなら大丈夫だぜという製品を作り上げるのが普通です。ところが、上記の通り「いついつまでにモノ作れ」という線引きがサーカスみたいになっているため、出来上がったモノに対する検討時間がまるでない。つまりどういうことかというと「えーい、もうこれで行っちゃえー!」

 ブレーキって、人の命に関わる製品です。もちろん、限られた時間の中においても、やらなきゃいけないことはやっているし、心配事は潰しています。でも、それがはたして100%か?偶然が二つ三つ重なって、僕らが手がけた部分が故障して、クルマがドカーンってなってからじゃ遅いと思うんだけどなぁ。それをわかった上で、お客さんであるクルマのメーカや、ウチの会社の部長がこの日程を引いているんだとしたら、脳みそクリームプリンじゃねえかと本気で思う。僕を含め、担当者レベルの人間は全員言ってます。「この製品、人を殺すぞ?」それなりに時間を設けてくれるなら、ウチの会社は、それはもうしっかりとしたモノを作れると思います。だって、そこらに転がっている脳、すごいぜ?なんでみんなこんなに頭がいいんだって素直に思ってしまうくらい優秀。なのに何故、と心底思う。まぁある程度の答えはわかっていて、結局、精神でカバーしようとしてるから間違ってんだ。「がんばればなんとかなる!」って、ならねえならねえ。

 僕らだけじゃなくて、メーカの人間は大なり小なり同じような悩みを抱えていると思います。こんな製品、世に出していいのかと。なんかね、日本ってさ、何でこんなに急いでるんだろうって思う。もっとゆったりのんびりしてさ、温泉ばかりに浸かっていたい。もしくはさっさとメタンハイドレードを掘り出す仕組みを作って金持ち国家にならねえかな。

 僕がいま描いている夢は、いつも焼きたてのパンを提供できるパン屋さんを経営することです。みんな買いにきてね。