居酒屋小話2本立て

 ■2本立ての1本目。

 10年来の友人たちと、こぢんまりと飲む機会がありまして。気心が知れている仲なので、一杯目にビールを頼む必要もないよなと思って、店員のおねーさんにすいませんと声をかけ「麦焼酎をください」と頼んだのです。そしたら「飲み方はどのようになさいますか?」と問われたので「あ、ロックでお願いします」「かしこまりました」と。

 数分後、そのおねーさんの右手から「お待たせしました」とすべるように差し出された一杯は、あきらかにロックじゃなくて水割りだったんです。…あれ?と思ったオレの表情にどうやらそのおねーさんは気がついたらしくて、オレにこう確認してきたんですよ。「あ、あの、飲み方はロックでよろしかったですよね?」…えーと、あれ?

 目の前に出されてるのは確実に水割りだ。けれど、おねーさんとオレとの会話のやり取りはなんら間違ったところはなくて(ロックください→ロックでよろしかったですよね?)こういうときはどう答えるのが正解なんだろうと一瞬悩んで、大人のオレが出した答えは「はい、あってます」でした。ちなみに口をつけたら、もの凄く薄い水割りでさ。

 で、この一連の騒動が何故起こったのかを考えると、何らかの原因でおねーさんに「あいつ気にくわないからロックとか言ってるけどすごい薄い水割り出しちゃえ」と思われて、あの一杯が出てきたとしか考えられなくて、心に小さなダメージを負いました。何したんだオレ。一杯目だぞ。


 ■2本立ての2本目。

 とても短い話。↑の飲みの最中で「なんかおもしろい話しろよ」と言われ、ああわかったと話したら「10点満点中、2点だな」と評価された話。

 別の居酒屋での話なんですけど、壁に黄色い紙がバンと貼られていて、朱色の字で「寄せ鍋はじめました!2人前よりご注文承ります」と書かれていて。「へぇ、そうなんだ」と思ったら、その脇に注意書きみたいな感じで、こう書いてあったんです。「この鍋は、2人前で4人が十分お腹いっぱいになる量です」って。

 それ2人前じゃなくて4人前じゃん!(全力)

 で、2点。人を笑わせるって、難しいなぁ。