ナイフ

 まだ一つめの短編『ワニとハブとひょうたん池で』しか読んでないんだけど.

 前に話したっけかな.中学の時の話.もうとにかくオレらのクラスはうるさくてうるさくて,基本的に授業になんてならなかったんだよね.特に女の先生の時なんかはもう歯止めが聞かなくてとにかくみんな好き勝手にやってた.そしたらまあ,案の定というか,授業中泣き出してしまってね,その女の先生.で,授業中に泣きながら席を立ってどっかへ行ってしまったですよ.そりゃあもうこの出来事は学年で大問題になったんだけど,担任のおばちゃんの先生はただ叱るんじゃなくて「自分たちで今後どうしていくか考えて,職員室に報告に来なさい」って行って,教室出て行っちゃいまして.

 男女二人のクラス委員がじゃあってことで前に出て,今後どうしようかって話になったんだけど,まあ,これからは授業中私語をしないで,ちゃんと先生の話を聞こうっていう当然の結論に落ち着いて.そんで最後に,クラス委員が「じゃあ,こういうことでいいですね?では,ちゃんとこのことが守れる人は挙手してください」っていうこれまた中学生らしいまとめ方ですよ.ここで全員手を挙げて,先生に「こういうことで,全員一致しました」って報告をすればその場はすんなりまとまったんでしょう.

 ここで手を挙げなかったヤツら,ハッキリ覚えてますよ.OとKとNと,あとオレの4人.たまたまこの4人は席が近かったから(オレが仲良かったのはNだけ)もうクラス中の視線が一気にこっちに集まりましたよ.そしてクラス委員の「なんで守れないんですか?」との問いに「いままでさんざん騒いできたのに,いきなりそんな約束守れるわけねえだろ.で,守れない約束はしないんだよオレは」的な反論をした記憶があります.確か.他の3人もほぼ同様の理由で,そんな無責任な約束できるかって話だったんだけど,それを聞いたクラスっつーか,特に女子ね「なに言ってんの?先生泣いてたんだよ?」だの,「そのくらいのこと守りなさいよ」だの,まあ言ってくれるわ言ってくれるわ.お前らもその泣かした一員だろがみたいな感じで,思いっきり言い返してやりましたけどね.ホントにそんな約束して,お前ら守れるのかよって.オレ以外の三人は,表だって言い返してなかったから,ほとんどオレ対クラスの女子みたいな構図で.

 結局は「極力しゃべらないよう努力する」っていうカタチで,男の方のクラス委員がまとめてた.それなら挙手してくれるよな,って感じで.で,こっちも一対多の構図に疲れたので,しぶしぶ挙手して,集結でした.しぶしぶね.

 そんで次の授業.オレら4人以外は全員授業中しゃべってた.そんなもん.


っていうことを思い出したのさ,この話読んで.

ナイフ (新潮文庫)